愛車探索中に…

■不審なショップを発見した

旧車の盗難で色々調べていくうちに、不審な旧車系ショップに遭遇したので、報告しておこう。断っておくが、これはそのショップが俺のバイクを盗ったという直接的なことではないので早とちりしないようにお願いしたい。

ならばなぜ書くのか?と問われれば、こうだ。
俺がこの件で某有名中古車雑誌(以下MB)にこのショップに関して問い合わせると、
『営業部が言うには、最近西多摩の「U」と埼玉の「○○○」さんは調子がいい』
とW編集長が言う。
「U」はどうだか知らないが、俺がたまたま耳にした「○○○」はとてもじゃないがまっとうな業者とは言えないものだ。旧車會・族車系専門の高額な人気車を売買していながら、家賃を踏み倒し数十〜数百万円の損害を被った不動産屋や器物放置で迷惑を被った隣近所がいるばかりか、ろくに看板も出さず夕方から夜中に騒音撒き散らした営業をしている。そういう業者が「商売の調子がいい」というのは理にかなっていない。NOVAやグッドウィルもそうだったが、日頃評判の悪い企業は叩けば埃が出るものだ。

では順を追って読み進めて欲しい。俺が調べたことは事実であり一切の脚色はない。

■盗難に至る経緯から探索まで

平成19年2月13日明け方に盗難されたバイクはホンダCBX550Fワンオーナーのノーマル約9,000km走行という極上車だ。23年前に杉並のHONDA系ショップで生産中止を聞き、買って長い間寝かせておいたものだ。

少しこのバイクの事について話そう。「母の形見」みたいなもんなのだ。だからこいつをかっぱらった奴は地獄の底まで調べて追い詰めてやる覚悟だ。家は経済的に決して豊かでなかった母子家庭だったが、バカがつくほどのバイクバカだったオレはほとんど家に帰らず、誰とつるむでもなく峠を走り、バカが高じて、真冬の北海道野営ツーリングや豪州の砂漠を縦断した。そして気がついたらオフロードバイク雑誌の創刊スタッフにまでなっていた。年齢的にそういうきっかけを与えてくれたのがこのCBX550Fであり、苦労をかけた母との思い出がつまったバイクなのだ。

事件の話に戻る。実はこの事件の1年半ほど前(H17)に未遂事件があった。明け方近く、俺は物が割れる音で気がつき、外に出て犯人と正面で顔があった。しっかり顔を見られた犯人は逃げ、俺は追いかけた。10代後半〜20代前半の若い男が毒舌を吐きながら逃走したがサンダルだった俺には不利な追走だった。しかし、やつも息が切れたのか10メートルほどの距離を置き向き合ったところで切ったチェーンロックを振り回し「かかってこいよ、ぶっ殺してやる」と馬鹿がほざいた。暴漢に対し日頃から「無駄死にするくらいなら刺し違えても一緒に自滅してやる」という考えの俺は、チャンスが来たと思った。ところが!この顔を見られた馬鹿は突然、アパートの通路を走りぬけ原チャリで逃げたのだ!。ようは口先だけの根性なし臆病野郎だったのだ。

昔話で恐縮だが、俺がガキだった30年前にもヤンチャな野郎はいたし、暴走族も今の数十倍の規模を誇って存在していた。俺は学校という組織の本音と建前のいい加減さに反抗して2度も中退した当時でいう「落ちこぼれ組」の道を選んだ。族こそ入らなかったが、あちこちに友達はいたし、そいつらの多くは学校を中退しスタンドでバイトしながらマシンを買っていた。だから、通信社の陸送のバイトをしながら峠に通っていた(とは言ってもギャラリーもいないし、同じところを周回するような目立つことをする輩はずっと後の世代だ)俺とも、バイク好きってだけでいっしょに葉山へ海水浴ツーリングにいったりした。プレス仕様と暴走族仕様のツーリングは今思えば変な取り組みだが、当時の俺たちは喧嘩はしてもかっぱらいなどは絶対やらなかった。だが、今は「盗み・恐喝当たり前」「暴力団の舎弟」みたいなただのチンピラに成り下がったのだから、たとえ底辺の人間であろうと誇りを失ったバカには同情する気もおきない。珍走団と呼ばれてもしかたなかろう。今のやつはひとりじゃ何も出来ないってのが本当にわかった。

さて、バイクに戻って被害を見るとハンドル部のヒューズボックスが割られていた。満足にドライバーも持っていなかったようでプロにしては手口が荒いと感じ、これは珍走系の小僧ではと考えた。近所には俺が見ても盗難対策がかなり手薄のリッターバイクや、オーナーが2年以上触っていない放置された綺麗なネイキッド400が何台かあるにもかかわらず、厳重だった俺のCBXを狙ったということは、どうしてもCBXでなければならない理由があるということだ。

今回はまんまと盗られてしまったわけで、それは俺の失態であることは論を待たない。しかし玄関の門扉をママチャリのゴムひもで封じてあり、追跡を妨害する処置をして犯行に及んでいることから明らかに前回と同一人物と推理して間違いなかろう。つまり俺が顔を覚えているあの臆病野郎だ。こいつは俺の息の根をとめときゃいいものを、ビビッて逃げたのが運の尽きだということをわかっていない。俺はこれから20年はやつの顔を追い続けてやるつもりだ。

とりあえず近在の警察署(成城、玉川、高井戸、北沢、調布、三鷹、代々木の各警察署と第三交通機動隊)に出向きチラシを配ったが、どの警察でも「手口から同一人物だな」ということで意見が一致している。

それから10日間ちかくは仕事を休み、原チャリで周囲数キロ四方の住宅地をくまなく探したが、まだ数の多いCBX400すら一台も見かけることは出来なかった。

■ネットで盗難情報を調べ始める

ネットの巨大掲示板などで盗難情報など調べていると
「珍走が旧車をかっぱらって店に売っている」
という書き込みを目にした。買うほうの店は、書類もなくハンドルロックを壊された希少な旧車を疑いもなく買い取るだけなのか、店がグルで命じているのかは不明だ。まさかそういった商売をするバイク屋があるのかとも思うが、過去に窃盗団だった業者が逮捕されているからありえない話ではないだろう。杉並の某バイク屋のオヤジからも、関東近辺には窃盗犯とグルになって解体などをやっている業者があるんだよという発言も直接聞いた。

そこで俺は珍走に人気のあるCBXやZやGSなどの400cc系バイクを専門に扱う業者を調べてみることにした。中古車、旧車を専門とする老舗雑誌やネットでもデータを公開している雑誌、巨大掲示板の珍走系板で読者が好んで読むと紹介されていた某月刊誌Cを買って来た。すると「○○○」という広告を発見。どこかで見たなとMB誌のバックナンバーを探すと、数年前に特集で大きく取り上げられていた。
「とりあえずこの店に(俺のCBXが売りさばかれてはいないか)からあたるか」
最初はそんな感じだった。
とにかく店の在庫を見てみたいと思い、最初にここを訪れてみることにしたのだ。
この時点での俺には何も疑問がなかったことを明記しておく。


■俺の勘違いから思わぬ話を聞く

俺はまず埼玉県の「○○○」をネットで検索。すると埼玉県三郷市×××という住所が出たのでそれを信じ、借りたバイクで出向いた。そのショップに電話をしたが携帯の留守番サービスに転送され、らちが明かなかったからだ。MB誌面に掲載された時は、かなり大きなガレージに数多くの在庫が写っていたし従業員も多かったから「携帯の留守番サービスに転送」という対応に解せない部分もあった。しかし仮にここで電話がつながり、”CBX550Fは最近ウチでは見ないですね”とでも言われれば、これから書くような問題にはぶち当たらなかっただろう。なぜならわざわざ遠くまで出張る必要がないからだ。ところが俺の覚えて行った住所から意外な話を聞くこととなったのだ。

埼玉県三郷市×××の当地に行くと100〜200台近いバイクを展示する規模のバイク屋はどこにも見当たらない。なんだよ、どーなってんだよ。そこで俺は近くの鉄工所に飛び込み、俺を胡散臭そうに見るオヤジにバイク屋のことを聞いた。すると、
「一年ほど前位だけど賃貸料金を滞納し続けて追い出された大きなバイク屋がすぐそこにあったんだよ」
と言うじゃないか。それも俺や原チャリを不審そうにジロジロ見ながら言うのだ。逆に「お兄ちゃん、こんなとこまでなにしに来たの?」
と逆質をされる始末だ。名誉のために言っておくが、俺は職質されるような不審なカッコも違法改造されたバイクにも乗ってはいない。

その時の俺の驚きようはない。
「え?じゃあなんで某C誌に広告が出てんだよ?」
つまり、俺がネットで検索し書き留め出向いたのは”○○○の旧住所”だったのだ。

現場からあらためて携帯で検索をすると住所が同じ埼玉県だが違う市町村だった。俺はその中古車ショップの旧住所を探しに行ったために偶然地元の人間に移転の理由を聞くことになったというわけだ。

■移転先でも困難を極める

当然俺は今の店舗(の在庫)を見たくなり地図を頼りに現地へ向かう。ところが土地勘がないことと、郊外の大雑把な区画ではピンポイントで場所がわからない。そこで再び移転先住所の隣町の読売新聞TY配送所に飛び込み住宅地図を見せてもらった。ところがこの地域を配送している配達員の男性が
「たまに聞かれるんだけど…バイク屋なんてないんだよ」
と店の主人と何度も「バイク屋なんて見たことないよな」と怪訝そうに、かつ確信を持った口調で俺に言うのだ。これは、俺以外にも○○○を探しにきた人間が複数いるということだ。

この新聞配送所も「現地へ行ってみてくれ」と言うのでとにかく住宅地図を頼りに数百メートル先の現地へ向かう。300メートル四方をくまなく探すが、バイクショップなどない。そこで、その住所に一番近いであろう場所にある、建物の風情から歴史のありそうな商品集配所に聞き込みをする。しかし何度粘っても
「ここ一年くらいで近隣にバイクが入った倉庫や店舗は知らないよ。バイク屋なんてないよ」
と言うのだ。それもウチはこのあたりの倉庫業者には精通しているから絶対だと断言している。そしてやはり近くの鉄工所や不動産屋に入っても、「聞いたことがない」と異口同音なのだ。ここまでくるとミステリーだ。他人に知られては都合の悪い店運営でもしているのだろうか?

■偶然みつける

あたりはもう夕暮れで暗くなってきた。帰ろうと思い、バイクを走らせると先ほどの商品集配所から目と鼻の先、なんと100mも直線で離れていない一本隔てた道の砂利道の細い路地の奥で人影が動いた。声をかけるとバイク屋はウチだという。しかし看板もバイクも何もない。汚い倉庫らしき建物と、流山ナンバーの高級セダンだけが置いてある。
俺は盗難車のことは伏せ、CBX550Fのことを聞いた。すると、
「最近程度のいいのが入ったけど売れちゃいました」
「うちは入るとまずばらしちゃうから」
「オーナーが鍵を持ってるからバイクは見せられない」
「今は無くてもバイクはなんでも必ず手配しますよ」
と言う。
そして電話してから来てくれと言われた。それ以上の追求は無理と思い、俺はいったん帰路につく。

■帰宅して考察

帰宅して考えた。店の看板すら何処にもあげていないバイクショップとはなんなのか。それも近隣の住民はまったく知らないという営業をしている。扱っているのは完全に社会迷惑な珍走車系で、通やマニアの選ぶZ650や刀650などは扱わない。しかしCBX550Fのエンジンが欲しいとまで発言していた(これらはICレコーダーで録ってある)。さらに従業員も鍵をもっておらず、店に来た客にバイクもまったく見せない。まあ、扱う車種は自由だからいいとしても、珍走に関心のある車種しか扱わず、そういう改造車を作り、在庫も見せないというのは公明正大なショップとは言えまい。

そもそも、移転の理由が賃貸料未払いで追い出されたとは…本当なのだろうか?。
店にある在庫(稀少車ばかりのはずだし高額なものが多い)を整理すればかなりの額になるはずで、埼玉の地価の安い地域の倉庫を追い出されるまでにはならないと思うのだ。某中古車雑誌MBにはけっこうな数の従業員が写真に写っていたし、少なくとも契約の賃貸料金を払うべきは借主の基本的な義務のはずで、いったいどういう商売をしているのだろうかと感じるのが「常識」というものだろう。
さらに言えば、俺が訪れたところにはバイクのバの字も無く、奥のほうでなにやらコンプレッサーだか溶接の音がしていただけだった。そしてとても輸入車を搬送するような場所にも思えなかった。

このショップが俺のCBX550F盗難にかかわっているということではない。しかし旧車盗難が多発し始めた以上考えさせられることは多い。

近年、元珍走団が旧車會と呼ばれる形で返り咲き、旧車市場がひとつのマーケットになっていることは事実であり、それを狙ったムックなどを出版するところも受け皿として機能している。中年の楽器ブームのような動きと同じで、時が経てばそういうマーケットが在って不思議なものではない。この「○○○」に「本質的な問題」があるかどうかはまだわからない。家賃をきちんと支払い、滞納に決着さえつけて旧物件を出ていれば、第三者が咎める問題でもなかろう。ただ、俺が取材した鉄工所のオヤジは呆れた口調で話していたので、踏み倒しだった可能性も否定出来ない。俺が知る限りでは、一般的に家賃の滞納があり支払いの遅延があったとしても、全額支払いさえすればまず追い出されることはない。

家賃の調達にしても「○○○」には一台50〜100万円くらいのプレミア価格を設定した珍車仕様のCBXその他がゴロゴロ在庫としてあったはずで、それらを適正な中古車価格で処分すればたちまち完売になるのは、ネットのオークション市場を見れば明らかだ。滞納している倉庫代は容易に捻出出来るはずなのだ。

まあこれも俺がまともな経営者なら苦渋の選択でそういう資金調達をするという話で、推理推論の範疇の話なのだが、家賃を滞納するようなショップがどうやって資金を調達しプレミア度の高いバイクを買い取って集めていたのか、その運用の仕方に疑念が起こっても不思議な話ではないと思うがいかがだろう。

つまり、ショップの運営の方法としてかなり高い確率で不穏な印象を与えることもまた事実だということだ。

■近所も知らない店舗運営

実は取材日に現地で近隣住民の話を聞いて耳を疑い、もう一度○○○を探したことは言うまでもない。なぜなら家賃踏み倒し迷惑ショップを安易に○○○と決めつける事は失礼だと感じたからだ。しかし、他に該当するバイクショップはこの沿道には皆無だった。民家も少なく、畑や更地ばかりで、他のバイクショップが軒を連ねるような環境の場所ではなかったのだ。

ダメ押しで○○○があったと思われる倉庫の裏手に流れる第二△△川沿いの古い民家のおばさんに「ここらに大きなバイク屋さんはありませんか?」と聞く。「そんな大きなバイク屋さんなんてないですよ」とのことだった。「以前もありませんでしたか?一年位前」と聞くとしばし考え「見たことないわねえ」とまで言うのだ。

察するに、○○○はきちんと看板を掲示し、バイクショップと判断出来るような展示をした営業をしていなかったのではないのだろうか? つまり、地元の人間すらその大量のバイクを見ていなかった。こう考えると、後に移転した埼玉県某市で地元の倉庫、新聞配送所、立ち話のおばさん2人(にも話を聞いた)が
「バイクショップなんてない」
と認識する共通発言にも納得が出来るし、実際俺が看板を見なかったことも合点がいく。いったいなぜなのか?

面白いことに? ネットでは2ちゃんのバイクの板、埼玉県の各地域の板ですら、○○○の噂を見つけることは出来なかった。逆に日野市の「U」や杉並の「Z」などは良し悪しは別としてネットでも話題には上がり、「中古バイクショップ」としての存在感はある。

■傾向性の話

余談だが、俺の若い時代は東京C・R・S連合やブラックエンペラーなどがまだ勢力をもち、とにかく珍走団問題が激化していた時代だった。当時の俺はプレスだったが、まだ死亡事故も起きていない奥多摩有料を攻める正統派?で、プレス乗りでかっ飛ばしていても節度ある走りをすれば白バイもけっこうおおめに見てくれる長閑な時代だった。今では信じられないかもしれないが大垂水峠でライダー同士がピースサインを交わした時代だったのだ。反面、珍走団問題は深刻な社会問題であった。つまり珍走系は今も昔も人に迷惑をかけるが人の役に立ったためしはないということだ。

珍走団のバイク(ロケットカウル、日章旗カラーやラメカラー、しぼりハンドル、三段シート、直管など)が好きな、もしくは扱う商売人は、やはり若い時にそういう傾向の中で生きてきた人間が多いのではないかと感じる。しかし、今その手の素材となるバイクは希少でなかなか手に入らない。しかし今のバイクでは満足しない。「昔のバイクをなんとしても手に入れたい」売り手も買い手もそう思うだろう。これはあくまで傾向性の問題だが、あながち外れた見解ではないと思う。

■珍車 需要と供給の時代

ここからは一般論としての推理だ。彼らは典型的な縦型社会で上の命令は絶対だから、もし珍走出のOB連中が珍車の商売を始めれば、当然傘下の現役連中に「バイクを探して来い」という図式は十分考えられる。実際、珍走のバイクの大半は窃盗によるものが多いようで、彼ら自身が愛読誌やネットの極道板で自慢げにそれを語っている。他人のバイクや部品をかっぱらうことは彼らには日常の行為なのだ。それが商売に結びついても不思議じゃなかろう。いや、旧車會の需要を見れば、それが商売になる時代が来たと言える。

ただでさえ○○○のようなショップは顰蹙の珍走車仕様を売りにしたショップだ。珍走御用達の某C誌に広告を出すということが、どういう若者をターゲットにしているか、見る者が見れば一目瞭然。ならばなおさら、第三者に信頼されるような、決して怪しまれない運営努力をすることが第一ではないかと考える。そういう俺の思考形式から申し上げれば、○○○には疑問符がつき、それを払拭するためにはもっと近い人間から客観的な意見が聞きたいという欲求が出ても不思議ではないだろう。

■閑話休題

バイクの盗難事件はもっと社会問題化されてもいい。被害者も泣き寝入りが大半だが、決してそれで良いとは思えない。郵便局で5万円を強奪されればニュースになるが、200万円のバイクが盗まれても騒がれることはない。これは異常な時代だろ。

原チャリは若者の興味や珍走のために盗難に遭う傾向があるし、ハーレーやBMWなどの高級外車、リッターマシンは不正な商売で輸出される傾向があった。そして国産旧車のプレミア性を狙った国内需要のための盗難が増えている。なんせ俺のCBXは傷もへこみも無い極上物だったから部品取りにも上物だし、ニコイチにも優良物件だ。ましてやプレミア度が上がれば価格が高騰し、それを買えない現役の珍は喉から手が出るほどその単車を欲しいだろうし、資本ゼロで商売になるなら不正にも手を出すだろう。

○○○の従業員の「うちは来たらすぐばらしちゃうから」という発言はどう受け取っていいのか迷う。聞きようによっては盗難車両でもばらしてしまえば有効に使えるというようにも聞こえる。ましてやただでさえ部品の手に入らない希少な車両ばかりを扱っているところなのだ。○○○が「うちは絶対に出何処の怪しい車両は受け付けない」というポリシーがあるのか…。扱っている車種や仕様傾向、販売ターゲットや転居の理由を考えると、あまり期待が出来そうにないというのが俺の本音だ。一部上場企業でさえ、利益優先を考えた末の不正・粉飾が山ほどある世の中だから余計にそう感じる…。

■噂は本当だった。隣近所と仲介不動産屋の証言。

もしかしたら○○○のオーナーがただの商売下手で、金の管理に無頓着なために家賃を滞納していたのかもしれない。それとも他のショップの噂なのか…。

ここまでは、CBX550Fを盗まれた俺が中古車ショップに自分のバイクが流れていないかという疑問からたまたま○○○を見に行く過程で不穏な噂を聞いたことと、苦労して探し当てた移転後の○○○のショップの運営方法にもさらに不穏なものを感じて推理をしたものでしかない。

しかし、その噂が本当かどうかは立証出来るものではなく、俺の中でも中途半端であまり心地よいものではなかった。そこで真実を確かめたくて日を変えてこの○○○の店舗を仲介していた不動産屋を探して話を聞くことにした。

どのような手段で探したかは至極簡単。○○○が元在った三郷市×××で最も近い住所をネットでググる。そして同じ住所の建築業者を見つけたので問い合わせをするという至ってシンプルな方法だ。

すると、驚いたことに当時の○○○と大家を同じくする2軒隣の店だという。最初は俺のことを不審に感じていたようだが、話をしていくにつれ詳しい事情を話してくれた。またその物件の不動産屋にも電話で話を聞くことが出来た。こちらも最初は俺を警戒しているようだったが、事情を説明すると納得したかのようにかなり突っ込んだ話をしてくれたのだ。

2人の話を要約すると次のような話になる。

「○○○は他人の駐車場スペースまで無断で占拠し、他の店の車が置けなくて皆迷惑をした」
「流山のほうの業者から紹介されて世話をしたが、最初の大家にも未払いで追い出され、今度はきちんとしてくれるかと思って×××の物件を紹介したが、ここでも一年分近い(数百万円分)家賃を払わなかった。ここの大家は○○○から家賃を取ることを諦め、裁判を起こして強制立ち退きで追い出した」
「バイクだけ持って出て行ってしまい、他のゴミは全部残して行ったから後片づけが大変だった」
「夜中に怪しいのが集まってかなり大きな音でなにかをやっていた。それがずっと続き、苦情を言ってもやめず警察を呼んだこともあった」
「彼らがまともな商売をしているとは周囲の誰も思っていなかった」
「ろくに看板も出しておらず、夕方から夜中しか活動していなかったから地元の人でもバイク屋があるんだと知っている人はいなかった」

つまり、○○○はなんと2軒!の家賃、数百万円分(×××は月約30万円近い家賃だという)をたて続けに滞納し、更に踏み倒して一銭も払わず追い出される形で移転したというのだ。

■「あの人は普通じゃないよ」

しかし不景気などで家賃を払いたくても払えない場合もあるだろう。そこで俺はその時の○○○の対応を知りたくて念を押して聞いてみた。

すると
「いやあ、べらんめえ調で酷いもんだったよ」
というのだ。そしてさらにどちらの証言者も
「あの人は普通じゃないよ」
という見解なのだ。

誘導尋問ではないが、俺が具体例として
「それは例えばヤクザのような?」
と聞くと否定をしなかった。
夜中に集まってくる連中もまともな感じじゃないと言っていた。
とにかく皆かなりの迷惑を被ったと言い、誉めるところはひとつもなかったのだ。

■某MB誌の記事

この○○○という珍走車専門店。某MB誌がたまたま特集記事で掲載をしていたので引用しよう。
店長が
「これぞと思ったものは滅多に外しません」
という発言には胡散臭さを感じるのは俺だけか。
「盲点はあるものです。プロにはプロの買い方があります」
というのも疑問符がつく。ちょっと考えてみてほしい。

もともと珍車系の国産旧車は一般のバイクショップや業者オークションにもほとんど流通せず、現存する固体数が多くない。また世田谷の「TT」や日野の「U」などそれに特化した店もあり、一般的な探し方に限界があることは素人でも察しがつく。実際、「U」などの在庫は多いとは言っても、○○○ほどではないように思うし、専門店の「U」が○○○のいう「盲点」をしらないとも思えないが、ショップの運営方法ははるかに健全な、というか普通の印象を受ける。
そもそもこれらの車両は国内で現存する車両以外では過去に輸出されたものを逆輸入するしか方法はない。プロにはプロの買い方というが、よほど特別なコネクション(旧車を数百台保存しているマニアを数多く知っているとか)がないかぎり「安く」「たくさん」は買えないものだ。

またCBやZの特定車種に特化した店もあるが、やはりきちんとした店舗運営をしているように感じる。いったいその「盲点」ってなんなんだろうか? 外国から買うにも輸送代や倉庫代、関税などで決してお手軽ではないはずだ。
そもそも○○○は2軒も家賃を踏み倒し強制退去をさせられているのだから、
「セコイ買い取り方はしていません」
とまで言われると素直に信じられるものではないだろう。

また、普通のバイクショップのサービス工場でも、毎日苦情が来るほどの騒音を出す作業は稀である。サンダーでフレームとか金属を切る削るとかならかなりの騒音が出ようが、エンジン着脱作業やタイヤ交換などでは警察を呼ぶほどの騒音は出ないのが普通。いったい彼らは夜中に何をやっているのだろうか?

犯罪性があるかどうかについては不動産屋も下手なことは言わなかったが、限りなく黒に近いグレーのような表現で「あの人はねえ…普通じゃないよ」とダメ押しして言っていた。なお、今回の取材に関しては建築業者と不動産屋のコメントの通話記録をとってある。

■W編集長とのやり取り

そこで違った視点から○○○を知りたいと思い、某雑誌のW編集長とメールでコンタクトをとる。
W編集長に諸事情を説明すると、忙しい中調べて下さった。その解答はW編集長も驚くものであった。要約するとこうだ。
山梨の某ショップが○○○にタンクのリペアを頼み品物を送った。しかしいつまで経っても戻ってこない。某ショップが○○○へ連絡をすると自分たちの不備を棚にあげて逆切れした。結局返品してもらったタンクは何も手付かずだった。「おたくの雑誌が紹介するには不適切なショップ」というのが被害にあった山梨の某ショップの忠告だというのだ。

編集長は「営業部が話を持ってくるから」という理由で厳正な解答は出さなかったが、W編集長自身の個人的な考えとしては今後は極力注意していきたいというものだった。これは制作と営業の経済的な力関係で、けっしてW編集長が快く思っているわけではない。むしろ悩ましい問題だろう。

雑誌の売上も大事だが某誌の営業部は社会正義という基本的な良心を思い出して欲しい。読者にグレーな買い物をさせないで欲しい。オレのようなものが情報を出していくことで、某誌のスタンスも少しは問われよう。

■まとめ

俺自身は○○○に直接的な怨恨はない。実名表記をしないのは俺のCBXとなんらかの関係があるかどうかわからないということ。2軒も家賃を踏み倒し法的手段で立ち退きを食らい、看板を上げず夜中に作業をして騒音で訴えられている怪しい業者というだけだからだ。しかしこういう業者がまっとうな顔で雑誌に宣伝を出し、珍走車を高額で売っているというのはいかがなものかと感じるからここに書くのだ。オレはそういう商売は嫌いだね。
実は俺は昔ラジオライフ誌の熱心な愛読者だった(汗)。あと15年若ければなんらかの手段で彼らの行動を監視してみたいという気にはなっただろう。それくらい興味津々なショップであることは事実だ。

何度も念を押すが、俺のCBX550F盗難事件と○○○が直接関係しているということではない。たまたま眉をしかめる情報に行き着いてしまったということだ。
そしてそこから導き出された推論・被害の実態はあまり良いものではないということなのだ。さらなる悪行があるのか俺の杞憂に過ぎなければよいという話であって、あくまで調べた範疇で事実を述べたものである。

俺の世話になっているバイク屋のオヤジの店でも数え切れないほどのユーザーがバイクを盗まれている。そのオヤジがこう言っていた。

「俺たちが鍵穴を壊されたお客さんのバイクを真昼間に取りに行って移動のために動かしていても、通りかかった警官も住民も何も言わないんだよ。これじゃ簡単に盗めちゃうよ。世間の見て見ぬ振り、無関心がバイク盗難を助長していることは間違いないね」

「人を信ずる」ということと「疑わない」ということは同義ではない。時には疑ってこそ真実が暴かれることも数多い。それは危険も多い。だから俺はいつもICレコーダーとデジカメ、そして武術をたしなみ護身用の武器を身につけている。皆、自分のバイクだけは大丈夫だなんて思っていたら大変なことになる。明日は我が身と思って愛機を大切にして欲しい。


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